スフィア・ハンドブック2018の出版イベントにあわせて、人道&緊急支援の国際基準トレーナーを対象としたリフレッシャー研修が6日間にわたりバンコク(タイ)で開催されました。本研修には、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、中米の計8カ国から16名が参加しました。本研修にIMCからの支援により派遣したQ&Aトレーナー3名のうちの1人、松本幸子さんからの報告です。
●研修の概要●
【目的】人道支援の質とアカウンタビリティ向上に関する最新情報やツールについて学び合い、将来の普及や実践に役立たせる。
【対象】世界各国で人道支援や開発分野の支援の質とアカウンタビリティ向上のための活動を行っているトレーナー等
【日時】2018年12月6日(木)~12月11日(火)
【開催地】タイ王国、首都バンコク
【人数】16人(8カ国。日本4人/ネパール3人/スイス2人/エチオピア2人/インド1人/スウェーデン1人/ソマリア1人/パキスタン1人/メキシコ1人)
【講師】シルビー・ロバート(フランス、個人コンサルタント)
【言語】英語
【主催団体】Community World Service Asia
●研修の様子●
本研修は、タイトルにもあるとおり、『人道支援を行う組織や団体が一緒になってできることは何か(Collective-ness)』『被災者(Affected Population)を中心にすえた支援をどのように実現するか』が学びの中心でした。例えば、人道支援の調査から計画、実施モニタリング、評価、そして計画へのフィードバックといったプログラム・サイクルの中で、これらの考え方をどう交差させていくかが議論され、具体的な事例を紹介したり、課題を共有したりしました。研修後半は、トレーナーとしての知識や技能向上を目的として、小グループによるプレゼンテーション(各40分)が組み込まれており、受講者はテーマを決めてプレゼンテーションの構成づくりや準備を行い、発表をしました。テーマは、研修で議論しあったプログラム・サイクルに関わることの他に、「参加」や「性的搾取・暴力防止」といった最新の課題も取り扱われました。
●研修を終えて●
6日間の充実したカリキュラムと世界各国の経験豊かな参加者や講師陣に恵まれ、非常に多くの学びがありました。本研修は、スフィア・ハンドブック2018の改定ポイントの共有にとどまらず、人道危機や開発課題へ取り組む際には何を優先するのか、という世界各地の事例も深堀りし、意見や経験を共有しあう機会になりました。その中で、発災地の文化や習慣といった地域の特徴(ローカル・コンテクスト)を尊重し、地域の人々と共に支援が行われる重要性が再認識されました。今回、日本からはQ&Aトレーナーが3名参加しました。JQANでは、日本国内において、被災者中心の支援を提案する国際基準の普及を目指し、「人道と緊急支援の国際基準トレーニング」を実施しています。その研修カリキュラムを徐々に開発していますが、本研修での学びを活かして、私自身も国内外の災害、復興、開発現場で活動する方々の支援の質とアカウンタビリティ向上に資する研修を企画・開発し、開催していきたいと思います。