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「避難所の質の向上」のためにスフィア基準の活用を

この度の令和6年能登半島地震でお亡くなりになった皆様のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

JQANでは災害に見舞われた方々の生命、尊厳、安全を尊重した支援の実現に向け、世界中の支援者が「共通言語」として参照しているスフィア基準をまとめた「スフィア・ハンドブック」の普及に、関係団体、トレーナーなどの皆様の協力を得て取り組んできました。

「スフィア・ハンドブック」は支援者が日々おこなっている災害対応・支援を否定するものではありません。90年代から現在に至る30年間に世界各地の様々な災害現場での支援の反省・教訓から導き出された普遍的な考え方や実用的な情報が掲載されています。その普遍性ゆえに、内閣府(防災担当)が被災者の健康を維持に欠かせない「避難所の質の向上」に向けてまとめた「避難所運営ガイドライン」(平成28年4年)においては「目指すべき(定性的な)質」の根拠となっています

災害対応・支援に関わる皆様が、現在進行中の災害対応・支援で発生している問題の解決、今後の避難生活や復興段階で起きうる問題を未然に防ぐためのヒントを得るための「辞書・実用書」としての活用をご検討ください。

<利用者の声>
・(被災者・地域)と接する際の支援団体としての基本姿勢、考え方の確認のために参照した。
・具体的な支援(例えば食糧支援)の計画時に配慮すべき事項を確認する際に参考にした。

※今回紹介している情報・資料・事例・調査報告類・投稿・動画は、全て執筆・制作時点の情報・数値となりますことご了承ください。

「スフィア・ハンドブック」

1)冊子本文 日本語版(PDFが別ページで開きます)

<主な内容>
・人道4原則(人道・公平・中立・独立)、被災者された方々の権利の保護に関する原則
・支援者がその支援活動において留意すべき事項(例:脆弱な立場にある方々、支援がもたらし得るさらなる被害の回避など)
・人道支援の必須基準(CHS、支援者が活動する際に被災者・被災地域に対して守るべき9つの約束事(コミットメント)と支援の計画・評価・見直しに活用できる質問項目)
・支援分野毎(「水・衛生」、「食料」、「居住」、「保健」)の最低基準(達成されるべき状態・普遍的かつ定性的)、基本行動・指標(基準達成にために取るべき行動・指標(定量的な目安)、ガイダンスノート(追加情報、過去の経験則など)

2)解説動画 (動画番号をクリックして視聴)

JQAN主催研修用に2022年制作、各動画の再生時間20−25分、別ページでYouTube画面が再生されます)

(1.スフィアハンドブック構成 2.スフィアとは 3.人道憲章 4.権利保護の原則)
(5.人道支援の必須基準(CHS))
(6.技術章(4 分野)、付録)

3)関連動画

我慢をさせない災害支援 活かそう!スフィア基準(動画)
徳島県庁制作、JQAN協力、2022年3月
<動画構成>
1はじめからみる(0:00)
2スフィア基準とは 災害の影響を受けた人びとの我慢を減らす考え方(2:42)
3我慢をさせない災害支援のために スフィア基準の活用の仕方を知ろう(11:42)
4我慢をさせない災害支援の実現にむけて 役立つリソース紹介(22:26)

日本の災害支援で基準を用いた事例・調査

1)「人道支援の必須基準(CHS)」

被災者支援のヒント集~国際基準と熊本地震被災者支援から学ぶ(PDF)】
特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム制作、JQAN協力、2022年6月
支援活動における様々な悩み、協働する際の留意点などについて熊本地震での対応実績・経験を国際基準の観点からヒント集として編纂したもの。
<冊子の構成>
発刊に寄せて、人道支援の質と説明責任に関する必須基準(CHS)とは
本書の使い方
<CHSコミットメント毎に解説>
CHS1  ニーズに合っていますか?
CHS2 タイミングがずれていませんか?
CHS3 地元の力を引き出すような関わり方をしていますか?
CHS4 地域の人の声が支援に反映されていますか?
CHS5 苦情を積極的に受け入れていますか?
CHS6 重複や、漏れが無いように支援団間で調整していますか?
CHS7 支援を改善し続けていますか?
CHS8 必要なスキルや知識を身につけていますか?
CHS9 資金や物資は、無駄なく適正に使われていますか?
インタビュー 熊本で支援に携わった4名の方のインタビュー
提言  3名の専門家・支援関係者による提言
リンク集 支援の際に役立つ資料の紹介

2)スフィアハンドブック活用状況インタビュー調査: ピースボート災害支援センター

JQANでは、日本の支援関係者向けの研修開催に加え、支援団体による実際の活動・業務においてどのように基準が活用されているかを把握するためのインタビュー調査を始めています。
日本での人道支援におけるスフィア基準の活用の現状と課題 インタビュー調査報告短縮版(PDF)
協力:一般社団法人ピースボート災害支援センター (2023年2月実施)

「スフィア・ハンドブック」、「人道支援の必須基準(CHS)」に加えて参照可能な基準

1) 分野横断的あるいはスフィアの4分野の基準

スフィアハンドブックの中にある4つの支援分野や特に配慮が必要とされる被災者グループ(子ども、高齢者・障がい者)に注目した10の基準が「Humanitarian Standard Partnership(HSP)」として整備されています。

このうち、以下の基準については日本語でも提供されています。

INNE ミニマムスタンダード(危機的状況下での教育支援に関する最低基準)」(日本語版PDF)

人道行動における子どもの保護の最低基準(CPMS)」(日本語版PDF)
災害時に子どもを守る最低基準CPMS」(動画、約5分間)

2) 心理的応急措置(PFA:サイコロジカルファーストエイド)


ショックな出来事の後に落ち着かない気持ちになることは自然なことですが、その度合いや現れ方は人ぞれぞれです。被災された方、支援に関わる方、報道に関わる方・視聴者など皆様の気持ち・過ごし方、関わる際に参照いただけるガイドとなります。

WHO版PFA(心理的応急処置(Psychological First Aid :PFA)
(ストレス災害時こころの情報支援センターのホームページ内)

こころのかまえ研究会の能登半島地震関係の投稿
(こころのかまえ研究会はスフィア等のトレーナーを務めるメンバーが設立。平時からスフィア基準など、災害が起きたとき、各人ができる “我慢をさせない支援” について情報を提供)

3)性的搾取・虐待およびセクシャルハラスメントからの保護(Protection from Sexual Exploitation, Abuse and Harassment: PSEAH)


残念ながら、災害時には避難所などで性的被害を含む各種犯罪が発生します。本ハンドブックは支援団体職員や関係者による性的搾取・虐待、ハラスメントから、支援を受ける立場の人々を守るために制作されました。「スフィア・ハンドブック」にある被災者を更なる被害にさらさないため、また支援団体職員やボランティアが加害者とならないために事前に組織的に取り組むことが重要です。

性的搾取・虐待およびセクシャルハラスメントからの保護(Protection from Sexual Exploitation, Abuse and Harassment: PSEAH)実践ハンドブック (日本語版PDF)

PSEAH:許されない権力の乱用〜人道支援における性的搾取・虐待およびセクシャルハラスメントからの保護 (動画、約6分間)

PSEAH 啓発用フライヤー・ポスター (PDF3種。ダウンロードしてプリントアウトできます)