Humanitarian Standards Partnership (HSP)

Humanitarian Standard Partnership(略称HSP)は、スフィアを含む10の基準管理機関により形成されるネットワークです。分野横断的な活用を通じて一層の支援の質とアカウンタビリティの向上を目指しています。

人道4原則(人道・公平・中立・独立)を踏まえ、被災者の権利とニーズを中心にした支援を行うために様々な視点からの基準が時代に合わせ開発され、実践されてきました。

HSPはその中でもスフィアの中にある4分野の最低基準や特に配慮が必要とされる被災者グループに注目した基準から形成され、定期的に基準に関する多言語での研修や活用促進に向けた研究や改訂がされています。

これらの一部は日本の関係者による翻訳や普及(研修他)活動が行われています。

HSPで日本での取り組みがされているもの

紛争や災害などの緊急時、被災者は平時のような教育を受けることができなくなります。しかし、教育を受けることは権利であるとともに、教育や適切な保護、ケアを通して、子どもたちの生命や権利、尊厳を守ることが可能になります。子どもたちが更なるリスクに晒されることを防ぐためにも、紛争や災害が起こった場合も速やかに教育分野における支援を行うことが大切です。

INEE(Inter-agency Network for Education in Emergencies)は、危機的な状況に置かれた人々を含むすべての人々が安全で質の高い教育にアクセスできる環境を確保するために多機関によって設立されたグループで、同グループにより支援に関する最低基準「INEE ミニマムスタンダード」が開発されました。

教育協力NGOネットワーク(JNNE)

2002年に設立されたSDG4(教育目標)の達成に貢献するために、教育分野の国際協力NGOで構成されるネットワーク組織です。①教育協力に関するアドボカシー、キャンペーン、②教育協力に関するNGOの能力強化を行っており、21のNGOが加盟しています(2023年7月現在)。

https://jnne.org/

「人道行動における子どもの保護の最低基準」は、緊急支援の現場で子どもたちを暴力や虐待、搾取から適切に守り、子どもの権利を実現するための概念および具体的措置が記載された国際基準です。

今日、4人に1人の子どもが紛争や災害の影響を受けた国で生活しています。そのような子どもたちは、日々、命に関するリスクに直面し、身体的および精神的健康が脅かされています。子どもに差し迫るリスクや長期的なリスクを考えると、緊急人道支援に従事するすべてのものにとって、子どもたちを暴力、虐待、搾取、ネグレクトから保護することは緊急の優先事項です。(『人道行動における子どもの保護の最低基準(第2版)』、序文より)

災害時に子どもを守る最低基準(CPMS)推進ネットワーク(CPMS推進ネットワーク)
「人道行動における子どもの保護の最低基準」の普及を通して、緊急時の子どもの保護に関する支援の質を向上させるために、子どもの保護分野で活動するNGOや大学関係者等で構成されるネットワーク組織です。CPMSに関する研修の実施、CPMSの認知の向上に向けた取り組みやアドボカシー等を行っています。

https://sites.google.com/view/cpmsnetwork-japan-com/

HSP以外で日本での取り組みがされているもの

性的搾取・虐待およびセクシャルハラスメントからの保護(Protection from Sexual Exploitation, Abuse and Harassment: PSEAH)とは、国際人道支援および開発支援などの国際協力分野において、組織の職員や関係者による性的搾取・虐待、ハラスメントから、支援を受ける立場の人々を守る取り組みのことです。この問題は、援助機関やNGOなどの職員が支援を受ける地域の人々に対し、支援の見返りに性的関係を強要する、性的に搾取するなど、立場や権力を濫用することによって発生するものです。PSEAHは、主に支援を受ける人々を性的被害から守ることを目的としますが、最近では、支援団体内部のハラスメントの予防と対応も組み合わせて考えることが主流になってきています。

PSEAHワーキンググループ

PSEAH(性的搾取・虐待、性的 ハラスメントからの保護)の国際的動向を学習し、日本のNGOの国内外での活動現場及び組織内での導入を目指して研究・提案を行うため、2020年よりJANICワーキンググループの1つとして活動しています。同グループの情報サイトはメンバーの一つのジャパン・プラットフォームが管理しています。

https://www.japanplatform.org/PSEAH/index.html

支援者が被災者や犯罪の被害を受けた方などと関わるとき、どのように声をかけたり、何に気をつけて接したらよいのでしょうか。PFAは、そのような疑問に応えるための心理的応急処置です。今まで世界中でいくつかのPFAが開発されてきましたが、WHO(世界保健機関)が中心となって開発した「WHO版PFA」(2011年公開)は、もっとも広く用いられています。

PFAは、危機的な出来事に見舞われて、苦しんでいる人の心理的回復を支えるための、人道的、支持的、かつ実際の役に立つ様々な支援をまとめたものです。心理的(サイコロジカル)という言葉を使っていますが、社会的生活をささえるための支援も含まれています。また、災害弱者や支援者自身のケアもできるように工夫されています。

ストレス・災害時こころの情報支援センター

同センターは、最先端の医療と研究で脳とこころの病の克服に取り組むナショナル・センターである国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の一部門です。
災害のもたらす健康被害について、被災者の方々に備わっている回復力を信頼し、その歩みに寄り添う支援のあり方について研究を行い、復旧、援助、医療にあたる支援者向けに被災者のニーズ・思いを十分にくみ取って活動するための情報提供を行っています。
2011年東日本大震災をうけ、2012年以降は同センターがWHOと契約を交わし、国内の関係機関とともに精力的に普及(研修)を進めています。

https://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/